今の家の間取りだけを見ると、最初からこういう家を作ろうとしていたように見えます。
全然そんなことはありませんでした。
うちは住友林業で3階建ての二世帯住宅を建てましたが、最初の提案と完成した家を比べると、かなり違います。
2階LDKは広くなり、スケルトン階段が生え、トイレはひとつ消えました。
そう。最初の我が家、トイレが4個ありました。
3階建てなので各階にひとつ。それだけでも3個です。なのに1階には、もうひとつありました。
幻の4個目のトイレです。
この記事では、契約前に営業担当が持ってきた最初の案、設計士が担当してからの最初の案、そして最終プランを順番に見ながら、家がどう変わったのかを追います。
大事なのはBefore / Afterではなく、その間に「なぜ変えたのか」があることです。
この記事でわかること
- 営業担当の初回案から設計士案、最終案までの変化
- 4個目のトイレが消え、スケルトン階段が生まれた経緯
- 約7.5㎡の増床を含む家族要望の反映プロセス

目次
最初の条件は3階建ての二世帯住宅
家を建てる前提は、家族の土地を建て替えて、僕と妻と母の3人で暮らすことでした。
1階は母の生活スペース、2階は家族の共用スペース、3階は僕ら夫婦の個室を中心にする。この大きな考え方は今の家にもつながっています。
ただ、部屋の広さ、階段、水回り、収納などは打ち合わせの中でかなり動きました。
注文住宅の間取りは、最初の図面を完成形へ磨くだけではありません。要望を足したり、別の要望とぶつかったり、構造や動線を考えたりするうちに、別の場所まで連鎖して変わっていきました。
営業担当が持ってきた真のファーストプラン
現時点で確認できている最古の案は、契約前に住友林業の営業担当が持ってきた手描きプランです。
以前は設計士の初回案を「ファーストプラン」だと思っていましたが、資料を掘り直したら、さらに前がありました。
家づくりDBを掘っていたら家の地層が一枚増えました。
この営業初回案では、延床面積152.35㎡、2階LDKは21.5帖。3階には6帖の部屋が2室、8帖の部屋が1室のほか、納戸やWICがありました。
階段は今のようなスケルトン階段ではなく、普通の階段です。
一方、トイレは1階に2か所、2階に1か所、3階に1か所。合計4か所。
この時点ですでに、幻の4個目のトイレは存在していました。
設計士のファーストプランでも4個目のトイレは生きていた
その後、設計士さんが担当してから改めてファーストプランが出ました。
ここで大事なのは、「営業のファーストプラン」と「設計士のファーストプラン」は別物ということです。
住宅全体の最古案は営業案。設計士案は、その後の設計フェーズで最初に出てきた案です。
設計士の初回案でも、まだスケルトン階段は採用前でした。そして1階の追加トイレも残っています。
つまり4個目のトイレは、一瞬だけ現れて消えたアイデアではありません。営業案から設計士案まで、わりと粘っています。
完成宅では各階1か所の計3か所なので、最終的には退場しました。
1階と2階を広げるため、建物自体も動かした
間取り変更の中でも大きかったのが、1階の母のリビングと、2階の家族共用LDKです。
2階LDKは営業初回案の21.5帖から、最終的に約25帖まで広げました。それとは別に、母から「1階の自分のリビングを少しでも広げたい」という希望がありました。
その1階リビングの希望に応えるため、建物自体を道路側へ約10cm動かす調整までしました。
10cmと聞くと小さく見えますが、家具をずらすのではなく建物を動かす10cmです。旧記事では2階LDK拡張だけが理由のように書いていましたが、直接のきっかけは母の1階リビングでした。
注文住宅、スケールが急に物理です。
結果として、最終的な2階LDKの広さには満足しています。ただ、約25帖あっても家具を置くとテレビとソファの距離は思ったより短くなりました。
面積を増やせばすべて解決、というほど家は素直ではありませんでした。
スケルトン階段が入って、4個目のトイレが消えた

完成した我が家の大きな特徴のひとつが、1階から2階へ上がる鉄骨スケルトン階段です。
これは最初の営業案にはなく、設計士の初回案の段階でもまだ採用前でした。
スケルトン階段は母の希望が強く、2階のリビングを視覚的に広く見せたいという狙いもあって採用しました。
そしてスケルトン階段を採用した後、1階階段下にあった追加トイレ案は消えました。
こうして我が家のトイレは4個から3個へ。各階ひとつという、冷静に考えれば十分すぎる体制になりました。
もし4個目が残っていたら、夫婦+母の3人暮らしでトイレ4個。一人一個でも余ります。

幻でよかったのかもしれません。
スケルトン階段自体はかなり高額で、見積上は吹抜け手すりを含む準耐火仕様の鉄骨階段で約235万円(税別)でした。
費用だけ見るとなかなかの存在感ですが、見た目や開放感には今も満足しています。一方で、音が上下階へ抜けやすかったり、階段下にホコリが落ちたりと、住んでから分かった面もあります。
間取り図では透明だったものが、生活すると急に音とホコリを連れてきます。
3階では階段の調整から本棚も生まれた

間取り変更は、何かを失うだけではありませんでした。
2階から3階へ上がる階段では、上がるときに頭をぶつけないよう位置を調整した結果、3階側にデッドスペースができました。
そこで設計士さんから提案されたのが、埋め込み本棚です。
今は結婚式の写真や、結婚式で使ったCD、本などを置いています。
これは最初から欲しいと伝えていた収納ではありません。別の問題を直した結果生まれた余白を、別の価値へ変えたものです。
間取りの面白さは、こういう連鎖にもあると思います。
最終的に家は約7.5㎡大きくなった
営業初回案の延床面積は152.35㎡でした。着工合意時の床面積は159.81㎡。
最初の営業案から比べると、約7.5㎡増えています。
ただし「7.5㎡分の部屋を一か所追加した」という単純な増え方ではありません。1階・2階・3階それぞれで部屋、収納、階段、動線を調整した積み重ねです。
さらに原契約時点から着工合意までだけを見ても、158.81㎡から159.81㎡へ1㎡増えています。
注文住宅は、ひとつの完成図へ一直線に近づくというより、何度も小さく形を変えながら収束していく感じでした。
最終プランで残ったもの・消えたもの
最初の営業案から完成までを大きく見ると、こんな変化がありました。
残ったもの:3階建て、2階を家族の共用LDKにする考え、1階を母中心・3階を僕ら夫婦中心にする大きなゾーニング、各階にトイレを置く考え。
大きく変わったもの:2階LDKは21.5帖から約25帖へ拡大。普通の階段から1〜2階は鉄骨スケルトン階段へ。2〜3階も最終的には木製ハーフオープン階段を採用。延床面積は152.35㎡から159.81㎡へ増加。3階の収納や部屋まわりも調整。
消えたもの:1階の追加トイレ。つまり幻の4個目のトイレ。
細かい変更を全部並べると議事録になるので、この記事では家の性格を変えたものを中心にしています。
住んでから見ると、間取りの評価はまた変わる
完成した間取りにはかなり満足しています。
特に、1階が母、2階が共用、3階が僕ら夫婦という縦の分け方は、二世帯住宅として暮らすうえで機能しています。
一方、2階LDKなので宅配、買い物、ゴミ出しには階段がついてきます。冷蔵庫も階段から搬入できず、クレーン対応になりました。
もし同じ土地に単世帯で建て直すなら、僕は1階LDKを選ぶと思います。でも二世帯でまた建てるなら、今の構成にかなり近い形を選びます。

つまり、間取りには絶対的な正解というより「誰がどう暮らすかに対する正解」があるのだと思います。
図面で読めなかった3階トイレの距離
3階トイレは階段のすぐ横で、ドアを開けるとすぐ階段開口があります。設計中は図面の距離感を読み切れず、完成時に「近っ!」と感じました。転倒したことはありませんが、夜に寝ぼけて移動すると心理的に少し怖く、事前に分かっていれば設計士へ位置関係を相談したかった場所です。

間取り変更から学んだこと
家づくり前の僕は、良い間取りは設計士さんが最初から出してくれるものだと思っていました。
実際には、最初の案はスタート地点でした。
家族が要望を出す。設計士さんが形にする。別の場所に影響が出る。また考える。
これを繰り返して、今の家になっています。
そして後から初期図面を見ると、「ここにトイレあったんだ」「階段ふつうだ」「家ちょっと小さい」と、自分の家なのに他人の企画書を見るような感覚があります。
最終図面だけでは分からないのは、間取りそのものより、そこへ至る判断の履歴でした。
まっさんホームでは、その履歴ごと残しておきます。
